ネコに会いに梅宮大社へ
ふと梅宮大社の猫に会いたくなって、嵐電「有栖川駅」から散歩。
「嵐山駅」行きの電車は、平日でも観光客らしき人達の姿が増えてきているが、梅宮大社は人影も少なく静か。青く晴れ渡った空で、結婚式の前撮りをしているカップルも、きっと素敵なショットが撮れたことだろう。
社務所前では、参拝客の人の膝の上で、背中を撫でられて気持ち良さそうに眠る猫。その傍では黒猫が丸くなってぐっすり。岩合光昭さんの『世界ネコ歩き』(NHK) で有名になったツキは、社務所の前をスタスタと通り過ぎて、神苑出口に消えた。相変わらず活動的。
神苑の紅葉はまだ始まったばかりだが、咲耶池の中島の茶席「池中亭」前のカエデはすでに赤く、茅葺の庵によく映える。鯉達は今日も元気よく餌を食べに集まってくる。池のほとりの草叢では、蝶や糸蜻蛉が飛び交い長閑な時が流れていく。ふっと西の方に目をやると、遠くの松尾山を背景にして赤や黄色の紅葉がとても鮮やか。
西神苑の出口近くの梅林の下草の中に、珍しい白いタンポポを見つける。秋にタンポポ? しかも白い …。どうやら日本固有種の「シロバナタンポポ (白花蒲公英)」のようで、秋にも咲くことがあるらしい。他の植物同様に、在来種は徐々に外来種「セイヨウタンポポ」に郊外に追いやられて減少しているという。花後の白くふわふわとした綿毛が、やわらかな風に吹かれて飛んでいくのを見ていると、まさに小春日和!
まだぐっすりとお休み中の黒猫に別れを告げて帰途に。
梅宮大社の東側参道の鳥居を出るとすぐのところに、『千代の古道 (ちよのふるみち
)』 の石の道標がある。その隣には『左 松尾神社 阿らし山 路』の道標。『千代の古道』とは、古歌にも詠まれ平安時代から親しまれてきた古道で、平安京と嵯峨方面とを結ぶ。当時の道は諸説あるらしいが、こちらの碑は、京都西ロータリークラブが2005年に建立したもの。帰り路は、この『千代の古道』を辿ってみた。
嵯峨野高田町の辺りを歩いていると、西側に広い畑が広がりピンクの花が咲いているのが見えた。「今どきレンゲの花ではないだろうし…」と不思議に思って畑に向かうと、なんと「ホトケノザ」。「ホトケノザ」は春に咲くのが一般的だが、日当たりの良い生育環境が整っている場所では、秋に咲くこともあるようだ。ただ花色は春の頃よりも薄くなるらしい。畑のすぐ北側には、小さな神社。「松尾神社 末社三ノ宮神社」の石柱がある。西側に建ち並ぶ民家の向こうには、嵐山から松尾山にかけての山並みが見える。「平安の人々が『千代の古道』を通っていた頃には、桂川から嵐山方面までよく見渡せたのだろうか?」などと思いながら「有栖川駅」に向かった。
夕されば 門田の稲葉 おとづれて 葦のまろやに 秋風ぞ吹く 大納言経信
[Note]
「ホトケノザ」は、春の七草に数えられる「ほとけのざ」とは別物。七草のものは、標準和名を「コオニタビラコ (小鬼田平子)」と言い、キク科で黄色の花を咲かせる。若い葉が食用にされる。
<参考資料>
・ 梅宮大社 HP ・ 『庭木図鑑 植木ペディア』
・ 『京都のいしぶみデータベース』フィールド・ミュージアム京都, 京都市
・ フリー百科事典 『ウィキペディア(Wikipedia)』