晩秋の奥嵯峨
まだ日中は暖かかった11月の終わり、晩秋の紅葉狩りに奥嵯峨まで出かける。
勝手に「秘密のトンネル」と名付けた護法堂近くの小径も、すっかり桜紅葉と楓の赤の微妙なハーモニーが美しいプロムナードになっていた。
春は桜のピンク、初夏には青モミジ、そして秋は赤にオレンジ色と季節ごとに楽しませてくれる静かな場所だ。
「護法堂弁財天」では、折しも弁財天の池が改修中だったので、邪魔にならないように境内を散策。
護法堂を囲むように真っ赤な楓。石の不動明王像が見下ろす石清水は、いつものように苔むした石を穿っている。緑の苔に楓の赤が映る様子は、いつまでも眺めていたくなる景色。
お堂の石段の上から振り返って見ると、常緑樹や竹の緑と紅葉が晩秋の陽射しを浴びて、煌めいている。
お堂から流れる読経の声を後に、次は嵯峨釈迦堂のすぐ近くにある「宝筐院」に向かう。
はるか以前に訪れた宝筐院は、楠木正行と足利義詮の菩提所として知られた寺院で、門から墓所に向かって真っ直ぐ伸びる石畳の参道が印象的だった。当時から苔と紅葉がきれいだったが、現在のように白砂の枯山水庭園を中心とした回遊式のお庭になったのは平成になってからのようだ。
いつの間にやら「紅葉の名所」と言われるようになり、秋には大勢の観光客が押し寄せる。
境内の緑の苔は相変わらず美しく、多くの紅葉の微妙なグラデーションによく映える。紅葉に目を奪われがちだが、あちらこちらにヤブランの黒い実や赤いツリバナの実、ピンクや白の山茶花の花などもあり存分に秋を楽しませてもらった。
参拝者の殆どは紅葉がお目当てで、楠木正行と足利義詮の菩提所に足を運ぶ人は滅多にいない。そこだけ秋の陽だまりのような菩提所は、歴史を語る碑として今もひっそりと建つ。
そう言えば、本堂横の枯山水庭園には立派な枝垂れ桜があった。 次は春にでも訪れてみようかな。