大原「音無の滝」へ
新緑の美しい季節になり、久々に大原を訪ねてみることに。今回は、春季特別公開中の「大原魚山 来迎院」から歌枕になっている「音無の滝」まで足を延ばしてみた。
<来迎院まで>
京都バス「大原バス停」前の交差点を呂川に沿って「三千院」方面に歩いて行くと、10分ほどで「三千院」参道に至る。右手にはお休処「一福茶屋」があり、石段横の『良忍上人絵伝』が「来迎院」へと誘う。今回はここからさらに呂川に沿って東に向かう。呂川は「三千院」の北側を流れているので、少し行くと「三千院」の朱雀門が左手に見えてくる。石段上の朱塗りの門が、新緑によく映える。
左手に「勝手神社」の朱い鳥居を見てさらに数分歩くと、「来迎院 本坊 参道口」に着く。
<来迎院から音無の滝へ>
「来迎院」近くには「音無の滝」への案内があり、それに従って山道を行く。道は呂川を離れて今度は律川に沿うように北に向かう。次第に深い森の中に入っていく感じが、森林浴をしているようでなんとも心地良い。川には所々に堰が設けられ、流れる川のせせらぎが鳥の声と混じり合ってまるで自然の懐に抱かれているようだ。
上り坂が緩やかになった辺りで、道が二つに分岐する。右手は比叡山への登り口で「登山道 大尾山 (45分) を経て比叡山 (4時間) へ」の道標。古には多くの僧侶達がこの山道を往来したのだろうか、と思いながら道を左へと進む。道は一旦谷へと下り、律川に架かる小さな橋を渡る。よく見れば小さな魚がたくさん泳いでいる。
ここから再び上りとなるが「音無の滝」まではあと少し。
道の左手には「巨岩」と言いたくなるような岩が聳り立ち、まるで「御神体」のよう。 その大きさに感嘆しながら先に進むと … 「音無の滝」!
【音無の滝 (一の滝)】
2段分岐瀑で、上段の二筋の流れから中段より一つの流れとなり滝壺に落ちていく。高さは10メートル足らずだろうか。それほど大きな滝ではないが、飛沫をあげて流れ落ちる滝水が陽光を浴びて光る様はなかなかのもの。滝壺から流れくる水に手を浸すとひんやりとして冷たい。
一の滝が「音無の滝」と呼ばれる所以については、来迎院本堂内の由緒書には
「… 聖応大師が (良忍) この滝に向かって声明を唱え修業を重ねられるに従って滝の音と声明の声が和してついに滝の音が消え、声明の声だけが朗々と聞こえるようになったところから良忍上人によってこの滝を音無の滝と名づけられたと云い伝えられている」とある。
律川上流には「二の滝」「三の滝」もあるようで、京都トレイルを楽しむ人達のコースにもなっているらしい。
<参考資料> 大原観光保勝会 HP