野趣に富む伝説の ”白馬池” (常照寺)

京都・寺社,自然漫歩

吉野門

 6月半ば、鷹峯辺りを散策。「吉野太夫の寺」として知られる常照寺を参拝した際に、本堂の北西奥に伝説の池 “白馬池があることを知った。「妙法龍神堂」の近くに案内板があり、門をくぐって結構急な石段を降りていくと、谷合いに小さな池がある。
 

 

案内板

<白馬池伝説>
「鷹峯の北山にあり。傳云う中古此地に仙人栖侍りしが 或時白馬池と所の者申すならわしなり」(『京羽二重織留』巻之四「霊池」)
「白馬 (ハクバノ) 池  學室ノ西ノ谷ニ在リ 今滅ス 傳云フ 古ヘ仙人有テ此ノ所ニ住ス 白馬ニ乗ツテ池ノ中に往来ス 仍テ号(ナヅク)ルナリト」(『山州名跡志』巻之六 愛宕郡)

 

 案内板によれば、沼地として伝承されてきたらしいが、平成21 (2009) 年に「白馬池」として復興。池畔には「白馬池」と刻まれた顕彰碑が建立され、一字一石法華経が埋経されているとのこと。池を見下ろすようにブロンズ製の「白馬観音」が祀られている。

顕彰碑
白馬観音
羽化殻

 

 

 

 

 

 山の谷間にある小さな池は、周囲を樹々に包まれて人工物も無く野趣に富んでいる。池には白い睡蓮が咲き、メダカやオタマジャクシが長閑に泳ぐ。水面ではアメンボが気持ちよさそうにスイスーイと動きまわり、その上をトンボが優雅に飛び違う。青いシオカラトンボと赤とんぼ (アカネかな?) が、仲良く並んで水草の先に止まって休憩中。その近くには… なんと、トンボの羽化殻!
 著名な造園家の方々が設計した庭園もそれなりに立派だが、私はやはり「あるがままの自然」が感じられる場所が好き。

  仙人が 憩いし池は 静まりて 乱鶯のこえ ただ谷に満つ  (畦の花)

<参考資料>
  ・  『京羽二重織留/巻一〜四』  (丹波篠山市教育委員会所蔵)
     出典: 国書データベース,https://doi.org/10.20730/100190932
  ・  『山州名跡志』(大和文華館所蔵)
     出典: 国書データベース,https://doi.org/10.20730/100135305