鴨川 (賀茂川) 冬景色

京あれこれ,自然漫歩

 かつて京都を舞台としたテレビドラマでは、冬の鴨川にはユリカモメが群れをなして飛んでいた。そんな鴨川の冬景色をいつか見てみたいと思っていたが、最近では飛来するユリカモメが減っているようだ。そこで ”今年こそ!” とばかり、1月から2月にかけて賀茂川から鴨川へと散歩してみた。

北山 飛び石

1月下旬 北大路橋 → 出雲路橋
 「北大路橋」 西詰から河川敷に下り、まずは上流にある 「北山大橋」 方面へ。西側には加茂街道が走り、ひっきりなしに車が往来する。一方、東側には府立植物園があり、春には桜並木となる「半木 (なからぎ) の道」。冬の今は静かで散歩をする人がチラホラ。

 「北山 飛び石」 で対岸に渡る。鴨川で一番上流にある「飛び石」で、小さめの三角形の石が行儀良く並んでいる。それぞれのブロックには、「サギ」「ユリカモメ」「桜」などのプレートが貼られていて、見ながら歩くのも楽しい。水量が少なく河岸近くには砂州ができていたので、ちょっと立ち止まって休憩。遥か北の青い山並みが白い雲によく映えて、なんとも心地良い。

堰と北の山並

 ここからは 「出雲路橋」 に向けて南下。暖かな日和だったので、カモサギカワウなどが川で餌を取ったり、砂州で体を乾かしながら休んでいる。意外によく見かけたのがトビ。悠々と空高く飛ぶトビの姿は魅力的だが、「出雲路橋」付近のような交通量の多い場所でも2羽、3羽と群れるように飛んでいるのにいささか驚いた。そう言えば、鴨川の河川敷でトビに食べ物を攫われる人が多いと聞いたことがある。この日は、橋の袂のビルの屋上でじっとして、まるで仲間と会話をしているかのようなトビもいた。

 

カモさん達もひなたぼっこ
コサギ、エサを捕らえる
ビルの屋上でトビ監視中?

 

 

 

 

 

2月初旬 出雲路橋 → 葵橋 → 出町橋
 今回は、鞍馬街道の出入口で「京の七口」の一つ 「出雲路鞍馬口」 にある 「出雲路橋」 から出町方面に向けて散策。「出雲路橋」を東に向かえば下鴨神社があり、比叡山もよく見える。

カワアイサ
カワアイサ
ヒドリガモ
アオサギ

 

 

 

 

 

    「葵橋」 に近づくにつれて、河川敷はコンクリートで舗装され歩きやすくなっている。でも上流の土と草の歩道の方が、なんとなく「賀茂川」らしい。両岸の景色も、ビルが増えて賑やかさが増してくるようだ。川の中洲ではサギがポツンと佇み、スズメやハトが時折群れをなして飛び交っているが、残念ながらユリカモメは見当たらない。しかしカワアイサというこれまで見たことのない鳥に出会った。カモ科の鳥で、秋に大陸から渡来して越冬する渡り鳥。京都府では準絶滅危惧種になっているが、最近では鴨川や宇治川などでも観察されるようになった鳥らしい。

 

出町デルタから見る大文字山

 出町のデルタ で少し休憩。この辺りは観光客も多く、「飛び石」を渡ったり、景色を見ながら飲食したり、ジョギングをしたりと、人々の憩いの場所になっている。ここからは大文字山や東山の青龍殿も眺望することができ、いつ見ても飽きない。
 この「賀茂川」と「高野川」が合流する地点より下流を、一般的には「鴨川」と表記することが多い。

 

2月中旬 五条大橋 → 正面橋
 「正面橋付近でユリカモメを見かけた」という情報を得て、平等寺 (因幡堂) 参詣の帰りに 「五条大橋」 まで足を伸ばしてみる。京都市の中心部を東西に貫く五条通の一部である「五条大橋」は、交通量も多く、周辺にはビルが建ち並ぶ賑やかな場所にある。

 橋の南側から下流方面を眺めていると、鴨川水面に何やら白い鳥の群れが …。河川敷ではカメラを構えた人の姿も見える。「もしや?」橋の東詰から河川敷に下りて 「正面橋」 方面に歩を進めると … いた!ユリカモメ!

 

 

 

 

 


白くほわっとした丸い鳥が、川面にぷかぷかと浮かんでいる。10羽ほど?上流に顔を向け、川の流れに身をまかせてゆらゆらと下流に向かって流れていく。何をしてるのかな? … と突然、パッと勢いよく羽を広げて上流に向かって飛び立つ。川面に浮かぶ姿はとても愛らしいが、羽を力強く伸ばして飛行する姿はなんとも力強い。遠距離を渡るにはこうでなくては!初めて見るユリカモメは、朱い嘴と脚がアクセントの白い魅力的な鳥。

 

 ユリカモメにしばらく夢中になっていたが、ふと近くの砂洲の草叢に目をやると、カモ達がくつろぎタイム。この付近は鳥の餌となる小魚が多いのだろうか?よく見ればカモにも様々な種類がいるのがわかる。偶然居合わせた野鳥に詳しい方が、鴨川に生育するカモについて教えて下さった。
 鴨川にはマガモコガモヒドリガモなどの種類がいるそうだが、多くの種がやって来るのでその交雑種も増えているとのこと。鳥の種類には疎いので、何となく「カモ」と言って済ましてきたが、「そうなんだ!」と驚き。次からはもう少しよく観察してみよう。

 

3月初旬頃になると、ユリカモメはイカナゴ漁が盛んになる大阪湾の方に餌を求めて移動するらしい。来季もまた出会いたいネ!!

    <参考資料>   ・ 日本野鳥の会京都支部  website