春を待ち … 春の雪

自然漫歩

雪空にかすむおひさま

 「春分の日」を前にしての春の雪。白い綿のような春の雪は、ふわふわと空から舞っては地面に落ち…そして解けていく。まるでホレおばさんが羽根布団を振っているように。“春を待つ花たち、どうしているかな?" とふと思う。

 

「ツバキとサザンカ」
 宇治の 「橋寺 放生院」 でひっそりと蕾をつけていた椿。まだまだ堅い蕾の先には「もうじき咲くよ!」と濃いピンクの花びらがチラホラ顔を出して愛らしい。2月も半ば。今年の冬は特に寒い。椿の近くでは、椿とよく間違えられる晩秋から咲き始める山茶花が満開。濃い紅色の花びらと、黄色いめしべの色合いが華やか。
 今頃は、散りゆく山茶花に代わって椿が春を告げているかな?

ツバキの蕾
咲き誇るサザンカ

 

 

 

 

 

「梅」
 2月末、奈良の 「霊山寺」 で出会った梅の木。訪れる人もまばらな静かな境内に、梅の木が一本。小さな蕾をいっぱい付けて、折からの陽光を満身で受け止めている姿が、何だかとても健気に見えた。
 霊山寺は200種類2000株のバラが咲き誇るバラ園で知られるが、冬はその準備期間。でも一本だけの梅も味わい深い。

 

「ハクモクレン」
 少し暖かい日が続いた2月の終わり。ご近所を散歩して見つけた「転法輪寺」の白木蓮の蕾。春先には美しい大輪の花を咲かせるので、時々お邪魔していたが、蕾を見るのは初めて。柔らかそうな銀色の毛に包まれて、お日様に照らされてキラキラと光っている。まるで毛皮のコートに身を包んだ貴婦人みたい。そろそろ “ウーン" と伸びをして開き始めているかな?

  道の辺の 石仏寒し 涅槃雪 舞う白雪に 逝きし人見ゆ  (畦の花)