賀茂別雷神社(上賀茂神社)  (北区上賀茂本山)

京都・寺社

上賀茂神社は、平安遷都以前よりこの地に勢力のあった賀茂一族の氏神神社が始まりとされ、下鴨神社とともに「賀茂社」と呼ばれている。山城国一ノ宮で世界遺産。御祭神は賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)。葵祭でも有名な神社だ。

見上げるほどに立派な朱塗りの一の鳥居の下に立つ。参道は二の鳥居まで真っ直ぐに伸び、右手には斎王桜・御所桜が並ぶ。春にはさぞ華やかになることだろう。下鴨神社の鬱蒼とした糺ノ森とは対照的で、空がよく見渡せてなんとも開放的。

二の鳥居手前には神馬舎。ちょうど訪れた日は出社日で間近に神馬を見ることができた。

二の鳥居をくぐると対の立砂を配した細殿。立砂は御祭神・賀茂別雷大神が降臨した神山を象ったものという。聳え立つような楼門の向こうには中門。ここでやっと権殿と本殿が見えてくる。

三間社二面流造の同じ建物の社殿で、東(右)が本殿、その西(左)に権殿(ともに国宝)。特別参拝をお願いすると、まず直会殿に通されて神社の由緒の説明とお祓いを受ける。そして中門より「内庭」に入り、通常は国宝「権殿」の正面まで行くことが許されるらしい。が、折悪しく社殿の屋根の葺き替え工事中のため、少し離れた所からの拝見となった。その代わりに、葺き替え中の屋根の見学が特別に許され、檜皮葺の屋根の造作の様子を間近に見る機会に恵まれた。滅多にないことで、貴重な体験だった。

賀茂山口神社のある渉渓園には「ならの小川」が爽やかに流れ、周りに茂る樹々が静かさをもたらしてくれる。ここでは「賀茂曲水宴」が催されるようで、小川のせせらぎに耳を澄ませて古の時代のことなどに想いを馳せていると時の経つのも忘れてしまう。

   神山の ふもとになれし 葵草 ひきわかれても 年ぞへにける    式子内親王 (『千載和歌集』)