「ひなたの氷 九二歳、桜守の遺言」に思う

総記

NHKのETV特集で、京都の「桜守」として著名な佐野藤右衛門さんを取材した番組を見た。
1928年京都生まれの佐野藤右衛門さんは、天保3年(1832)創業の植木職「植藤」(植藤造園)の当主として、16代目を襲名。円山公園のしだれ桜を守り続けている人として、テレビなどでもよく拝見する。桜に関する著書も多い。92歳の現在もお元気で、請われれば遠方へも出かけていく。
普段の会話では気さくで面白い「おじいちゃん」というイメージだが、仕事となると厳しい。「親方」と呼ばれていそうな職人にも、容赦ない言葉が飛ぶ。番組の中で藤右衛門さんが何度か口にした「異様」という言葉に、自然を相手とし続けていた人ならではの重みというか真実を感じた。科学の急速な発展により、今や人間は地球の主人のように振る舞っているが、実のところ温暖化現象、砂漠化、洪水・台風など世界各地で起こる異常気象、どれひとつとして解決されていない。人間の驕りが自然から諫められているのではないかと思うこともある。
「ひなたの氷はじわじわと溶けて、やがて消えてなくなる。人間もそんなもんや。」
藤右衛門さんの言葉には…滋味がある。