仁和寺 (御影堂・水掛不動尊)
今回は西門入ってすぐの「御影堂」と「水掛不動尊」を拝見。
【御影堂(みえどう)】
仁和寺の西北角にある「御影堂」は、慶長年間造営の内裏清涼殿の一部を、寛永の時代に再建したもので、重要文化財。檜皮葺で蔀戸のあるこじんまりとしたお堂は、歴史を感じさせる。堂内はひっそりと静まりかえり、時折鳥のさえずりが聞こえるばかり。弘法大師像、宇多法皇像、仁和寺第2世性信親王像が安置されているようだ。
【水掛不動尊】
「御影堂」敷地の東門をくぐると、そこには石の水掛不動尊がいらっしゃる。小さなお堂の中には、ゴツゴツとした岩の上に、水に濡れた不動明王立像が安置されている。岩の下には湧水。由緒書きによれば、かつて京に大洪水があった時、一条堀川戻り橋に流された不動尊が復旧の折に橋の下から発見。その後、仁和寺に帰りたいという不動尊の夢告により、近所の人々の手で無事に帰されたとのこと。この伝承から、水を掛ければ一願だけ叶うという「一願不動」の信仰が生まれた。近畿三十六不動霊場の十四番札所となっている。
また不動尊の立つ岩は、「菅公腰掛石」と名付けられている。菅原道真が太宰府に左遷されることになり、敬愛する宇多法皇(仁和寺を創建)に最後の別れを告げに来た折に、この石に腰掛けて法皇を待ったと伝わる。
流れゆく われはみづくと なりはてぬ 君しがらみと なりてとどめよ
この冷たい石に腰を下ろし、菅公は「どうか無実の罪を晴らして欲しい」そんな切々たる思いで長い時を待ったのだろうか。お堂の前には彼の愛でた紅白の梅の木が植えられ、春を忘れずに可愛い花をつけている。