鹿王院から嵐山へ
嵐山花灯路や寺院の特別拝観も終わったので、桂川の辺りでも散策してみようと嵐電を鹿王院駅で下車。駅北に「Pain de Lait パンドレ」というパン屋さんを見つけて立ち寄る。こじんまりとした家庭的な雰囲気のパン屋さんだが、ショーケースには色々なパンが所狭しと並び、パン好きとしてはどれを選ぼうかとしばし悩む。こちらのお店、『食楽』(徳間書店)4月号の特集【パン賢者&食楽が選ぶ至極の食パントップ5】で選ばれたとのこと。京都にはこうした隠れた名店が多い!
「パンドレ」を出て向かった先は、鹿王院。駅から南方(三条通方面)へと住宅街を2, 3分歩くと「鹿王院→」の案内が見えてくる。本瓦葺きの総門をくぐって紅葉散り敷く参道を中門へと進むにつれ、静寂な空気に包まれていくようで、なんとも清々しい。客殿の縁に腰を下ろして冬の陽光を浴びたお庭をゆっくり眺められるなんて、贅沢なひと時。
鹿王院でリフレッシュした後は、三条通に出て、嵐山方面へ。バス停「角倉町」を過ぎたところで、「此附近 桓武天皇勅営角倉址・了以翁邸址・平安初期鋳銭司旧址」と刻まれた石標を見つける。大堰川を開削した角倉了以ゆかりの場所のような…。南側にはその「大堰川」が名を変えた「桂川」が、冬の陽射しを反射してキラキラ輝きながら流れていく。
臨川寺辺りから渡月橋に近づくにつれ、次第に人の往来が増えてくる。修学旅行の学生達も時折見かける。最近は修学旅行の季節も変わってきているんだ!
嵐山の紅葉も終わり、緑と茶色の山の中に、法輪寺の多宝塔と見晴台がその姿を見せている。渡月橋北詰には、「琴きき橋跡」の石標が建つ。『平家物語』や能『小督』で知られる高倉天皇とその寵愛を受けた小督局の悲恋にまつわる石標だ。そんな謂れのある橋を、今日も楽しげなカップル達が行き交う。