大原の里
久しぶりに大原の里を訪れる。最後に来た時は、観光バス用の駐車場が整備され、三千院や寂光院へ続く道には新しい土産物店が増えてまさしく「観光地」になっていた。今回は平日で、しかも小雨模様の天候のせいか、観光客もまばらで私の好きな大原に再会できたような気分。
バス停から三千院に向かう途中に、永六輔の「女ひとり」の歌碑がある。デューク・エイセスが歌うこの歌の大ヒットで、きっと大勢の観光客が静かな里に押しかけて来たのだろう。
呂川の流れる音を聞きながら三千院へと続く新緑の木々に囲まれた坂道を歩く。道の両側の店舗には、休日なのか廃業してしまったのかシャッターを閉じている所が目立つ。静かな大原でゆっくりしたい私にはこの観光客の少なさは願ってもないことだが、観光業が主産業の京都にとっては深刻な問題なのかも。
「さびしさに 宿をたち出でて ながむれば いづくも同じ 秋の夕暮」 (良暹法師)
紅葉も終わりの頃に再訪し、この歌をしみじみと味わってみたい。