福王子神社 (右京区宇多野福王子町)
周山街道ときぬかけの路が交差する福王子交差点の北側に位置する神社。第五十八
代光孝天皇の女御で、宇多天皇の母親である班子(はんし)女王を祭神とする。縁起によれば「班子女王は昌泰三年(900)に崩御、葛野郡頭陀寺に葬られ、その御陵がこの辺であったところから、後に班子女王をお祀りする神社、福王子神社を造営した事が『日本紀略』に記されて」いるとのこと。
以来、宇多天皇創建の仁和寺の鎮守社であり、また近隣旧六ヶ村(福王子・御室・鳴滝・中野・山越・常盤)の氏神として現在に至る。毎年十月に行われる秋季大祭では、仁和寺から譲り受けた御神輿が氏子地域を巡行した後、勅使門から宸殿前まで進んで奉幣の儀が行われる。
応仁の乱で焼失した社殿は、寛永年間に再興され、現在、本殿(春日造)、拝殿、鳥居が重要文化財に指定されている。
さほど広くはないが手入れの行き届いた境内で、歴史を感じさせる拝殿や本殿が、参拝者を待ち受ける。地元の人々に親しまれている神社であることが想像される。