お酒の神様とネコと秋
稲刈りが済みお酒の仕込みが始まる11月。醸造業の人々は一年の醸造安全、業務繁栄を祈願して『上卯祭』を行うのが古くからの習わしという。京都の西に位置する松尾大社の『上卯祭』には、全国から多くの醸造業に携わる人々が参集するようだ。そんな霜月、上の卯の日はもう過ぎてしまったが、お酒つながり(?)で松尾大社と梅宮大社の秋を見つけに行ってみた。
<先ずは嵐山経由で梅宮大社へ>
コロナの緊急事態宣言が解除されてから、嵐山界隈には再び観光客が戻ってきている。修学旅行の学生達も多い。喧騒の嵐山を抜けて着いた梅宮大社は、静かでほっとする。酒造の守護神「酒解神(さかとけのかみ)=大山祇神(おおやまづみのかみ)」を祀る梅宮大社だが、NHKの『岩合光昭の世界ネコ歩き』で「ネコ寺」としても有名。
今日も境内のあちらこちらにネコの姿。
春から夏にかけては、梅や桜、杜若などが咲き競う神苑も、もうすっかり秋景色。都市部では見かけないアケビの朱い実を見つけてなんだかうれしい…。
<松尾橋を渡り松尾大社へ>
松尾橋下の桂川河川敷で昼食。青く晴れ渡った空と流れる川の水面を見ながら食べるおにぎりはオイシイ。
橋を渡り始めると、大きな鳥居と同じく大きな神酒器のモニュメントが目につく。
平安京の西の守護神「白虎」とされる松尾大社は、太古の昔、松尾山の大杉谷に磐座(いわくら)を祭祀したのに始まるという歴史ある神社。創建に関わったとされる渡来人の秦一族の特技のひとつが酒造で、大山咋神(おおやまぐいのかみ)を祭神とすることから「日本第一酒造神」として醸造業関連の人々から信仰されているらしい。
広い境内には「神泉・亀の井」「霊亀の滝」といった酒造には欠かせない水源があり、秦氏が開削したという水路には澄んだ水が流れている。
重森三玲が最晩年に作庭した「松風苑」(上古の庭・曲水の庭・蓬莱の庭)は、それぞれ特徴のある庭園で趣深い。
苔むした灯篭に映る紅葉も美しい。